企業との連携とは
今日までの企業とNGOの関わりは、「企業=資金提供者、NGO=寄付先」という構図で捉えがちでしたが、現在ではその在り方も変容しています。従来の構図だけではなく、両者が双方向に関係し合う連携の在り方が生まれています。
企業とNGOの連携は、企業側、NGO側は元より、支援を必要とする地域を含めた3者にとって、より良い環境を整えられるとともに、将来に向けて持続可能な社会を形成する一助となります。また、企業は連携を通し、ニーズへの社会的責任を果たすことにつながり、それらの解決を加速させることにもつながります。
現在、多様な連携の在り方として、以下の3つに分けられます。
フィランソロピー(社会貢献)型
企業側からNGO側への一方向に近い、従来の関係です。寄付や助成金といった金銭的支援。物資や場所の提供といった物的支援。社員ボランティアの派遣やキャンペーンへの協力といったものが事例として挙げられます。企業側は、一過性の支援が行え関わりやすく、また、特定の分野に限らず、多方面の社会課題へ支援を行うことも可能になります。NGO側では、企業=一支援者と捉え、活動支援への御礼を中心とした関わり方となります。
トランザクション(人材交流)型
企業側とNGO側が、双方向に人的な動きを持つ連携です。目指す未来像や価値観の類似点を見出し、相互理解の元に連携が展開されていきます。組織内での一部署や、役職やリーダーシップを持った個人同士といった、社内の一部のつながりから連携が展開される場合もあります。社員教育、自企業が取り組むCSRへの相談や助言、ステークホルダーダイアログへの参加といったものが事例として挙げられます。
インテグレーション(事業統合)型
企業側の事業に、課題解決の手法が統合された連携です。目指す未来像や価値観を、両者が組織として共通認識を持った成熟したつながりがの中で展開されていきます。ソーシャルビジネスなどの共同事業や、以下で紹介するコーズ・リレーテッド・マーケティングが代表例として挙げられます。
コーズ・リレーテッド・マーケティング(Cause Related Marketing)
社会的課題解決を掲げて販売促進を目的としてマーケティングを行うもので、商品・サービスの売上の一部を NGO などの非営利団体に寄付します。いわゆる「寄付つき商品」と呼ばれるもので、企業にとっては販売・収益増を目的としても取り組むことができ、通常の企業収益全体の中から寄付をするという社会貢献の形とは異なり、商品・サービスという「本業」において寄付をシステム化しています。