ペルーでの出来事から、世界の課題を考える道へ
Nたま6期生 浅野陽子さん
Nたまに参加したきっかけは?
友人の結婚式に参加するため訪れたペルーでの出来事がきっかけでした。友達になれたであろう出会いがあったのに、経済的格差のために人と人とのつながりが崩れてしまうという体験に、世界はこのままで良いのか、放置していけないのではないかと強く思っていた所、Nたまのチラシに出会い、参加することを決めました。
Nたま講座で印象に残ったことは?
印象に残っていることは、高山研修で見た地元で躍動する若者の姿でした。研修では上宝村(当時)のまんま農場という所を訪れました。その地域は高齢化もあり耕作放棄地が問題になっていました。土地の所有者の方も自分が畑や田んぼを耕せないことで草が生えたりなど、周りに迷惑をかけてしまうことを気に病まれている状態でした。そこで、地域の若者グループが農業法人(まんま農場)を立ち上げ、高齢農家の耕作放棄地を手入れする代わりに無料で借り受け、お米を作り、それを販売するという新しい農業の試みをされていました。過疎地において若者が流出してしまうのはよく耳にすることです。ですが、それを食い止め、さらに地域を盛り上げたいと活動する若者もいるという事実と、エネルギッシュに挑戦されている姿にとても希望を感じ、刺激を受けたことを覚えています。
現在の主な活動は?
現在は、NGOである「ハンガーゼロ(日本国際飢餓対策機構)」の職員となって13年目です。主に海外事業部の業務を担当しており、アフリカやアジア、中南米など海外の現地パートナーとコミュニケーションを取り、現地での活動をサポートする役割を担っています。現地での事業内容は、飢餓や貧困に苦しむ地域の人たちが、自主的かつ持続的にコミュニティ開発を行っていくことができるように、若者や女性など様々なリーダーの育成、住民同士の繋がりの強化、収入向上活動のサポート、行政との連携の強化など多岐にわたります。
約20ヶ国で行われているそのような取り組みについて、学校講演やイベント出展などを通して多くの方々に知って頂くための啓発活動も担っています。また、名古屋NGOセンターの加盟団体として、Nたまインターンの受け入れも毎年行っています。災害発生時には、緊急援助も活動の大きな柱であり、先日は、ウクライナの難民緊急支援のため隣国のポーランドへ赴いていました。そこではウクライナ各地から逃れてきた方々のお話を聞く機会がありましたが、現地では物資の支援は比較的コミットしている状態に対し、心のケアが圧倒的に足りていないと感じました。
私が訪問した時期は、戦争勃発当初の混乱した緊張状態から少し時間が経過し、新たな課題が明確化し始めている時でした。現地の方の精神的負担は大きく、慣れた土地から何ヶ月も離れ、家族と会えない、しかもこれがいつまで続くかわからないという通常でない状態に置かれた人達の苦しみを目の当たりにしました。現地では、今後の支援の形を探るための調査を主としていたこともあり、これらの課題に対し、何ができるか模索していきたいと思っています。