なごや地球ひろば施設利用不承認に関する公開質問状について
【2024/11/21最終更新】
2024年6月27日付け独立行政法人国際協力機構(JICA)中部センター(以下、JICA中部)からの回答に対する名古屋NGOセンターからの見解を掲載いたします。予定より大変遅くなりましたことをお詫びいたします。
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2024年11月18日
特定非営利活動法人 名古屋NGOセンター
名古屋NGOセンターの見解
——公開質問状に対するJICA中部からの回答について——
名古屋NGOセンターは2023年9月、「西サハラ全国キャラバン2023 in 名古屋:いつか自由で平和な祖国へ! サハラーウィ難民キャンプからの報告」開催のため、なごや地球ひろば施設利用申請をおこないましたが、不承認になりました。
なごや地球ひろばのような市民が利用可能な公共施設の場合、表現活動や集会に対する規制は憲法21条(総務省ホームページ)のしばりを受けるはずであり、今回のような施設利用不承認の決定は慎重になされるべきです。そこで、名古屋NGOセンターは2024年6月15日、JICA中部に「なごや地球ひろば施設利用不承認に関する公開質問状」を送付、2024年6月27日付けJICA中部回答書(JICACBIC第202406270004号)を受領しました。
この回答書に対する名古屋NGOセンターの見解を以下に示します。
第一に、JICA中部からはほぼ無回答だったことに遺憾の意を表します。
不承認の根拠が変更された理由と経緯(質問項目1)、不承認書送付に5カ月を要した理由(質問項目2)については、まったく言及されていません。不承認書にある「他国若しくは国際機関」、「業務執行の妨げになるおそれ」(質問項目4、5)についても、具体的に記されていません。
名古屋NGOセンターは、サハラーウィ難民キャンプからの報告を聞く学習会を開催するため、なごや地球ひろばの施設利用を申請しました。「アフリカ最後の植民地」と称される西サハラの人権や平和について、サハラーウィ難民自身の声を聞く貴重な機会となる学習会であり、JICA中部の施設利用不承認という決定は受け入れがたいものでした。
不承認の決定がなされるのであれば、JICA中部の裁量判断が合理的であったか否かを確認できるよう、必要十分な情報が開示されるべきです。不承認の決定時点だけでなく、公開質問状に対する回答においても、情報が開示されなかったことから、JICA中部に裁量権の逸脱や濫用がなかったと確認することはできませんでした。
第二に、今後も表現の自由が制限される可能性が排除されなかったことに遺憾の意を表します。
公開質問状に対し唯一回答されたのが、施設利用不承認書撤回の意向に関する質問項目3でした。JICA中部の回答は「施設利用不承認書の内容は適切と判断しており、撤回の意向はありません」というものですが、上述のとおり、名古屋NGOセンターは「適切と判断」できる情報が開示されていないと考えています。
なごや地球ひろばを利用する市民の表現の自由(質問項目6)について、JICA中部は明確な回答をおこないませんでしたが、「これからも不動産管理細則に基づいて施設利用の判断を行う」の文言から、今後も表現の自由が規制される可能性があると懸念されます。
繰り返しになりますが、公共施設を市民に開けば、表現活動や集会に対する規制は憲法上のしばりを受けることになります。JICA中部は、裁量権の逸脱や濫用が起きないよう自制しなくてはなりません。そして、仮に表現活動や集会を規制する場合、その規制が合理的な判断によるものだと示さなくてはなりません。
なごや地球ひろばは、国際協力活動を推進する上で、情報発信や国際交流イベントの場として大きな役割を期待される施設です。サハラーウィ難民自身の生の声を直接聞くことのできる学習会を、なごや地球ひろばで開催できなかったことは非常に残念です。人権や難民について学ぼうとする市民の活動が、国際協力の推進を図るJICAによって拒否された事実を、名古屋NGOセンターは深刻に受け止めざるを得ません。
名古屋NGOセンターは今後も、弊センターのみならず、この地域の市民社会組織とJICA中部との開かれた連携と協働のため、JICA中部に説明を求めていく所存です。
2024年6月27日付けでJICA中部より回答がありましたので、掲載いたします。
2024年6月27日付けJICA中部回答(pdfファイル)
なお、この回答へ対しての名古屋NGOセンターからのメッセージ(
2024年6月15日、名古屋NGOセンターはJICA中部に対して、公開質問状を送付いたしましたので、ここに公開いたします。
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【三つの目的】
目的は三つです。
一つめは、JICA中部に対して、不承認が不当であることを抗議し、表現の自由を侵害した責任を問うことです。
二つめは、不当な理由によって表現の自由が侵害された事実を広く市民に知らせ、公共施設における利用不承認の持つ社会的な意味について考える機会とするためです。
三つめは、今後二度とこのようなことがないよう、JICA中部及びJICA全体において、市民の表現の自由について考える機会としてもらうためです。
【協働と責任追及の両立】
公開質問状を検討するにあたり、JICA中部と築いてきた協働の関係に影響するのではないかという意見がありました。議論の結果、協働と責任追及は両立すると判断しました。
10月に行われた名古屋NGOセンターとJICA中部との話し合いの場でのJICA中部の発言を根拠としました。「今回のことは協働の事案ではなく、単なる部屋貸しの事案として判断した」という趣旨の発言です。JICA中部は施設利用申請を協働の枠内で捉えず、事務的に、単なる部屋貸しとして処理した、つまり協働と施設利用を分けて捉えていると理解しました。
JICA中部が協働と施設利用を分離して捉えているのだから、施設利用不承認に対しては、権利侵害を受けた市民団体として対応する。協働はこれまでどおり維持する。両立は可能と判断しました。
今回の不承認問題は国際協力関係だけでなく、広く市民活動の自由に関わる、社会的な広がりのある問題です。二度とこのようなことがあってはなりません。広く市民のみなさんと一緒に考えたいと思います。
※施設利用が不承認となった西サハラに関する講演会については、以下のページをご覧ください。
11/6(月) 西サハラ全国キャラバン2023 in名古屋~いつか自由で平和な祖国へ!
(公開質問状及び施設利用不承認書)
なごや地球ひろば施設利用不承認に関する公開質問状(pdfファイル)