組織犯罪処罰法改正案(いわゆる「共謀罪」法案)を憂慮する国際協力NGO声明
名古屋NGOセンターも構成団体の1団体である秘密保護法NGOアクションネットワーク(NANSL)は、現在参議院で審議されている組織犯罪処罰法改正案(いわゆる「共謀罪」法案)を憂慮し、参議院での慎重な審議を求める声明を発表しました。
組織犯罪処罰法改正案を憂慮する国際協力NGO声明
秘密保護法NGOアクションネットワーク
特定秘密保護法の問題に対応する国際協力NGOのネットワークである秘密保護法NGOアクションネットワーク(NANSL)は、組織犯罪処罰法改正案(いわゆる「共謀罪」法案)が、多くの人々の憂慮、危惧、反対の声にもかかわらず、十分な審議が尽くされぬまま、5月23日に衆議院本会議で可決されたことに抗議し、国際協力NGOが憂慮する以下の点も十分に踏まえつつ、参議院での丁寧かつ慎重な審議を厳に求めるものです。
すでに多くの識者が述べているように、同法案は人々の内心の自由に政府権力が踏み込むことを可能とする、人権上重大な懸念点をはらんでいます。にもかかわらず、組織犯罪の構成要件が外形的に明確でなく、捜査機関の恣意による捜査や逮捕が危惧され、かつ、捜査機関の独断で特定の私人や団体を「予防」「疑い」を理由に日常的に調査する可能性が、これまでの国会審議でも排除されていません。このことは、国内外で人々に寄り添い、草の根からの社会課題の解決に取り組み、時に政府や企業に対し抗議も含め厳しい態度で臨む国際協力NGO にとって、大きな威圧となります。
加えて、同法案や特定秘密保護法の存在が、法(案)の直接の効果以上に、市民社会の自由な言論・活動スペースを萎縮させる効果も懸念します。国際協力NGO は独裁や権威主義体制を採る海外の活動地で、治安立法や団体規制立法の存在が人々の自由な言論・活動を萎縮させ、相互監視社会を出現させ、市民社会の健全な成長と社会課題への取り組みを停滞させる状況を見てきました。残念ながらこの傾向は、国際的にもいわゆる途上国から中進国、民主制を採る主要国にまで広がりを見せています。こうした萎縮効果が、国連総会で採択され、日本政府も実施指針を策定した「持続可能な開発目標(SDGs)」実施に必要な社会各層のパートナーシップを阻害し、社会課題への取り組みが停滞することで、国内外で人権を十分に享受できない人々が増え、人々の不安と不満がかえって過激主義の広がりを助長する結果になることを、深く憂慮します。
以上のことから、秘密保護法NGO アクションネットワーク(NANSL)は、組織犯罪処罰法改正案に憂慮を示し、参議院での慎重審議を求めます。
2017年6月14日
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